第2章・第一部:平時

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そんな感じで、お喋り者たちと話していると、山下監督の車がグラウンド脇の駐車場に留まり、監督がスタスタとやってくる。 「おい、お前ら、集合だ!」 と、監督が招集をかけた。 「よし、まずグラウンド10周。終わったら、俺に声をかけろ。」 山下監督はいつもこういう練習の始め方をする。前野は隣で監督に聞こえないように、ぐげぇーっと文句の声を漏らしていた。ちなみに、前野と夏川は毎回行われるこのグラウンド10周を地獄と呼んでいる。 そして、いつも通りチームのキャプテン、千葉さんを中心にランニングは始まる。このランニングには特に隊列が決まっているわけじゃないが、だいたい自然とやる気がある順になる。前の方には千葉さんからレギュラーと続き、元気のある下級生陣も前の方に続き、前野たちは後ろの方にいる。 アレックスは大概千葉さんより少し後ろの位置で、レギュラーとほぼ変わらないくらいのところにいる。そして、俺は毎回なんとなく真ん中くらいである。
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