第2章・第一部:平時

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そして、まあ当然と言っても差し支えないだろう。このランニングでは、千葉さんを中心に゛イチ、ニー。イチ、ニー。゛と掛け声を出しながら行う。まあ、これも声を出す奴と出さない奴がいたりする。 「おはよー、東雲くん!」 いつも通り、なんとなく真ん中へんでランニングしてた俺に、隣でにやってきた広木さんが声をかけてきた。 「おはよ、広木さん!聞いた?再来週、四年中心でも練習試合やるらしいよ!」 「聞いた聞いた!東雲くん、マウンド任されるといいね!」 そう言って、広木さんはニコッと笑う。 広木さんは小学生ながら愛想を振り撒くのが上手い。女子はやはり成長が早いといったところか。 「広木さんもセカンドで頑張ってね!」 俺がそう言うと、 「え?まだ、私だって決まってないよー。」 広木さんが照れるようにそう言った。 「広木さんは間違いなく選ばれるって。」 広木さんはチームで唯一の女子で、同級生である。しかし、女子と侮ってはいけない。小学生では、まだ男女で身体能力の差はそこまで出てこないし、広木さんも運動が得意なのであろう、守備に打撃に走塁に、全てでなかなかの実力を持っている。肩は少し弱い方なのであるが、確実に次の試合では最初から使われるだろう。
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