第1章:躍動

7/13

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
そして、その週末のこと。彼らは住所こそ東京都ということになっているが、特別区ではなく西の方に位置するため、少し行けば大小の公園に満ち溢れている。 しかし、この日はエイドリアンが゛せっかくだから、バーベキューでもどうだい?゛と提案したため、エイドリアン一家と風希、それから風希の父親である敦で車を出し、特別大きな公園にやってきていた。 無論、バーベキュー可能で大きな原っぱを持った公園である。 「ふぅ、ついたか?。」 敦は車の運転席を出るやいなや、大きく伸びをした。 「父ちゃん、運転するとすぐ疲れるよね?。」 「風希、運転って大変なんだぞ?」 風希の幼いながらに見せる悪戯っぽい顔に、敦は苦笑しながら否を唱える。 そんな敦の反論を聞いているのかいないのか、風希はアレックスと共にキャッキャと騒ぎながら、原っぱへ駆けていった。 「東雲さん、運転ありがとうございます。」 アレックスの母、祥子が敦をねぎらった。 「スミマセンね、ウチの夫がバーベキューなんて言い出した割に、今免許停止中だってこと忘れてただなんて。」 エイドリアンは運転がやや粗く、その結果現在免許停止中である。これは初めての免停であり、幸い人身事故などではなく、壁にぶつかる、制限速度を破るなどの積み重ねであったのだが、免停は思いの他ダメージだったらしく゛今後はもう気をつけるよ゛とのことらしい。 それが故に今回はエイドリアン一家の車を敦が運転するということとなった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加