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入社4年目、企画開発部に配属されて、そろそろ1年。
噂には聞いていた鬼上司。
七瀬朔夜という人物。
シワのないスーツを纏い、ノンフレームの眼鏡に無表情。
よく通る声で辛辣な冷たい言葉。
隙のない立ち居振舞い。
俺も配属されたばかりの頃は、その威圧感に圧倒されていたのは確か。
でも、あの人の下についたらわかることもある。
理不尽に怒ったり注意したり、威張り散らすなんてしない。
自分の非は潔く認め、部下の手柄を真っ先に褒め称えてくれる。
さっきみたいに最後に励ましやフォローして、部下を大切にしてくれているのが分かる。
まぁ、無表情だから分かりにくいんだけど。
それでも俺は尊敬してる。
仕事は馴れ合いだけじゃやっていけない。
怖い部分はあるんだろうけど、鬼上司、なんてこの部署の人たちからは聞かないし。
きっとみんな俺と同じだと思う。
それが七瀬課長という人。
でも、まさかこの印象が変わるなんて。
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