オカン、限定

3/10

314人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
入社4年目、企画開発部に配属されて、そろそろ1年。 噂には聞いていた鬼上司。 七瀬朔夜という人物。 シワのないスーツを纏い、ノンフレームの眼鏡に無表情。 よく通る声で辛辣な冷たい言葉。 隙のない立ち居振舞い。 俺も配属されたばかりの頃は、その威圧感に圧倒されていたのは確か。 でも、あの人の下についたらわかることもある。 理不尽に怒ったり注意したり、威張り散らすなんてしない。 自分の非は潔く認め、部下の手柄を真っ先に褒め称えてくれる。 さっきみたいに最後に励ましやフォローして、部下を大切にしてくれているのが分かる。 まぁ、無表情だから分かりにくいんだけど。 それでも俺は尊敬してる。 仕事は馴れ合いだけじゃやっていけない。 怖い部分はあるんだろうけど、鬼上司、なんてこの部署の人たちからは聞かないし。 きっとみんな俺と同じだと思う。 それが七瀬課長という人。 でも、まさかこの印象が変わるなんて。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

314人が本棚に入れています
本棚に追加