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高鳴る胸を押し隠し、俺は今日も『親友』という名の仮面を被る--
「あ、斗真もおかわりいる?」
「おぉ、じゃコーヒーがいいな。」
「オッケー、取ってくる。」
「悪いな。」
立ち上がりいいよと笑った悟志に、頭を撫でられ胸がざわめく。
でも、これくらいで動揺を顔に出すことはなくなった。
大学内のカフェ。
飲み物を取りに席を離れた『親友』。
黒く少しくせのある髪に、平凡な顔。
自分と身長も体格もあまり変わらない、人混みにすぐ紛れてしまいそうなどこにでもいる男。
これが鈴木悟志、名前もごく普通の俺の『親友』。
そして、俺の心を捉えてはなさない『想い人』でもある。
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