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「....トリック オア トリート」
「へ?」
俺の突然の言葉にキョトンと目を丸くする佐伯。
いつもはお互いにあまり喋らないのに、わけのわからないことを言いだしたのだから仕方ないだろう。
「あ、こっち見た。」
だがそのおかげで、いつもなかなか目を合わせてくれない佐伯と目が合った。
告白を受けてからも、いつも顔をわずかに俯かせている佐伯だが、サラサラの金髪から覗く顔や耳が赤くなっているのを知っている。
たまに校内で見かけるときは、噂どおり最強の不良というオーラを纏っているが、ふたりきりのときのギャップに俺はすっかりハマってしまった。
「ぁ...な、なに、いきなり。」
そしてウロウロと視線を泳がせながら、またパッと顔を俯かせてしまう。
少し残念に思いながら、
「ハロウィン」
「ハロウィン?」
「ん。クラスのやつが騒いでた。」
簡潔に説明する。
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