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床に胡座をかいている俺の腕の中に、すっぽりと収まる体。
「た、立花っ...」
慌てる佐伯の腰を引き寄せて向かい合わせになるように抱き上げると、早鐘を打つ心臓の音が体に伝わり、
ふと漂う柑橘系の爽やかな香りに、思わず鼻を首筋に擦りつける。
「...香水?」
「ぁ、つ、つけてる...けど。」
「ん...いい匂いする。」
赤く染まる耳の裏あたりに鼻先をうずめると、佐伯の体がビクッと大きく跳ねた。
「あ、ごめん。」
これはさすがに嫌だったか?
体を少し離して佐伯を見ると、これ以上ないくらい真っ赤になった顔。
「...ごめ--」
もう一度謝ろうと口を開いたら、胸に顔を押しつけるように抱きつかれる。
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