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「あなた……真弓さんはその前にお腹が空いてるんでしょう?」
「あ、はぃ!」
昨日からほとんど口にしていない真弓は、
多木が注文した鮨を、次から次へと手に取っては口に放り込んだ。
「……よほどお腹かが空いてたようね」
真弓は応答する前に、手が先手観音のように動いてしまうのだった。
「真弓さん……
あの踊りは、私を捕らえる為の踊りだったのでしょう……真弓さん?」
「もぐもぐ……うんうん。ぱくぱく……美味いーーっ!
うん、そうじゃがよ。
あの踊りの意味は先生しか知らんからね。もぐもぐ……」
多木数の子は肩の力を抜いて、
「そぉう……
あなたがそうでしたの」
と言い……
「それで、真弓さんは、私に何か用がお有りなんでしょう?」
と言うのだった。
真弓は一息ついて、お茶を啜り終えて、
「止まらんがですよ、先生!
アッカンベーお尻ペンペンやらが止まらんとですよ!
教えっ下さいっ! 止め方を教えて下さい先生!
この通り、お願いするがね―――っ!」
と、テーブルに額を着けて頼むのだった。
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