消えた真実

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「煩わしい話はするなと拒否したところで、トリガーハッピーな相川には無駄だろう?」 妖艶な笑みを浮かべる麗香を見据え、遼は片眉を引き上げ「クッ」と喉を鳴らす。 「私がトリガーハッピー?それは心外ね。私はあなたと違って好戦的な人間じゃない。ただ、亜紀の親友として真実が知りたいだけ。――許可が頂けたようだから聞くわ。最後にこの娘と会ったのはいつ?」 麗香は眠る楓を一目見た後、目の前に立つ冷淡な表情に視線を戻した。 ―――会ったのはいつ? 私はてっきり「この娘と何かあったのか」と――そう聞くのかと思っていた。 それは、私がタイミングを見計らって彼に投げようと決めていた言葉だから。 直ぐには返答をせず、眉間を寄せて麗香を見つめる遼。 私はその彼の言葉を待ち、唇を結んで息を飲む。 「浅倉が家に押しかけて来た日が最後だ。携帯は着拒否にしているから話してもいない。自宅の留守電に『会って欲しい』と声が録音されていた事もあったが、ずっと無視をしていた」 彼は声色を変える事もなく淡々と言い、それを終えるとこれ見よがしに深いため息を吐いた。 この娘がシャンパンと胎児のエコー写真を持ち、マンションに押しかけて来たあの衝撃的な一夜…… あれ以来、一度も会っていないの?私が家を出たにも拘らず、電話で話すらしていないの!? それなら――― 私は難しい顔をして楓の下腹部に視線を置く。 「へぇ~、ずっと無視をね。それはお気の毒さまだけど、無視され続けた事による自殺……ってのも、しっくり来ないわね。そんなひ弱な精神の持ち主とは思えないし……」 考え込む私の横で、同じく小首をかしげる麗香。
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