第1章『鈴原 宗冶(冷めてるオトコ)』

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 笑顔が可愛い普通の女性……だよな。    仕事はデパートの1階にあるお花屋さんだっけ。    一昨日の合コンの時に、たまたま隣にいた女の子に対して抱く印象は、そんな簡素なもの。    そもそも、横に座っていたのと店が暗かったのと、煩かったので顔は一度しか見ていない。  世間でもよく聞く話。  出会いに対して『素敵な理由が欲しい』みたいな『綺麗ゴト』    大嫌いなんだ。ああいうの。  女特有のロマンスってやつ?    男と女がどこで会うかなんて大した問題じゃない、大事なのはそこから何をするかじゃないのか?  と書くと、まーた会社の飲み会で叩かれそうだけど……。 「じゃ、お先上がります」 「はーい、お疲れ様」    俺が勤める会社は今年の業績も右肩上がりだが忙しくは無い。営業マンとして日々をやり過ごしている。  今日も1日の仕事を終えて、ふと合コンであった彼女の事を考え駐車場に向けて歩いていた。  携帯のSNSツールで声をかけてもピクリともしない。
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