3月10日…お久しぶりです。

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「どうでした?」 「お父さんはまともな人で、ちゃんと話が通じた。お母さんはパニック障害みたいなものがあるらしい。『ああ、妻に言っても無駄だと思います』みたいなこと言ってたし」 「パニック障害?……ああ、なるほど」 声を落とし、苦笑いをする私と加藤さん。 それはそれとして、 「オペの承諾が取れたんですね!Aさんに持病は?」 「特に無いらしい。精神疾患があることも知らなかったみたいだ。いつ発症したのか…まさか、気づかなかった訳じゃ無いよな。ここまでの状態で」 先生は、最後の傷を縫合しながら複雑な表情を浮かべる。 「気づかなかったって……」 例えば、母も鬱病、子供、その兄妹も鬱病。家族内で精神疾患を患う事も珍しくない。 お母さんがパニック障害だからAさんも何らかの影響が? それに、お父さんの言葉。――「妻に言っても無駄だと思います」って……冷淡さを感じずにはいられない。 そもそも、こんな時間に二人の携帯に電話したと言うのに、電話口で興奮状態になる妻を夫は見ていなかったのだろうか。両親は一緒に暮らしているの? 様々な疑問が頭に過るが、家庭の事情を詮索する権利も無ければ場合でもない。 それより今は、Aさんを一刻も早くオペ室に運ばなきゃ!
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