3月10日…お久しぶりです。

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「櫻井さん、ちょっと鑷子ちょうだい」 「え……鑷子って……何するんですか?」 何だか嫌な予感がする…… 私は眉根を寄せて、差し出された三枝木先生の手のひらを見る。 「結紮が出来そうか見てみるから」 「いや、それは……今、コアグラのおかげでその程度の出血かも知れないし……」 悪い事は言わん! ここで手を出すのは止めとけ! ―――と、言いたいけれども……ドクターの指示を頭ごなしに突っ返すわけにもいかず。 私は恐る恐る、鑷子を掴んだその手を三枝木先生の手もとに伸ばした。 躊躇いも無く、私の手の中から鑷子を引っこ抜く先生。 「あっ、先生、一番右奥にあるコアグラは退かさない方が良いよ。止めて行くなら手前の……」 と、坂上先生が忠告をしたその直後。 ピューっと、Aさんの首から赤色の噴水が空中に上がった。 なっ、なに!? 突然の出来事に驚いて、大きく目を見開き三枝木先生の手もとを凝視する。 「うわっ、コアグラ触ったらいきなり出血して来た!」 三枝木先生は血相を変え、慌ててガーゼを奥に突っ込む。 「触ったらって…」 違うだろ! 調子こいて、躊躇いもせずコアグラ退けたんだろ! せっかく蓋してた栓を退けちゃって。だから忠告したのに!このっ、大バカ者めがっ! 決して口に出せない悪態をつき、私は大量のガーゼを掴んで先生の手もとに投げ入れる。
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