3月10日…お久しぶりです。

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「一本は止まった。でも、一番損傷してる血管は深くて、電メスで皮膚を切開しないと見えない」 坂上先生は眉間にしわを寄せ、低い声を落とす。 電メスで切開って……じゃあ、やっぱりここでは処置が出来ないってこと!? 顔を引き攣らせ、吸引ボトルに視線を向ける。 出血量が300ccを超してる!? 深紅に染まったガーゼの重さを加えたら、出血量はおそらく500ccを軽く超えている。 駄目だ…… このまま出血が止まらないと、Aさんは間違いなくショック状態を起こしてしまう。 その先は―――――― 【死】 「先生、Aさんの意識レベルが少しずつ落ちてます!」 加藤さんの張り詰めた声が、恐怖で身を固める私の聴覚に捩じ込まれる。 輸血は未だ届かない。 オペ室にも運べない。 だけど、こんな場所で死なせるわけには行かない! 「先生!とにかくオペ室に運びましょう!オペ室ナースが外来に到着してからここを出るよりも、運び入れてしまった方が時間は短縮できます!」 焦る気持ちが私の背中を押した。 「……そうか、そうだな。運び入れて麻酔をかける。三枝木先生、運びながらここの血管を押さえてて」 坂上先生がピンポイントで血管の圧迫を指示したその時、 「櫻井さん!オペ室スタッフ到着しましたよ!」 加藤さんが安堵の声を上げる。 「ああ、矢田部さん!」 「オペ室の準備はOK。櫻井さん、搬送しながら患者の情報を頂戴」 息を切らしながら駆けつけたオペ室ナースはそう言って、私に視線を送った。
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