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「で、あんたは残念にも家を飛び出してこんなちっぽけでせっまーいアパートで一人暮らしを始めたって訳ね」
おいおい、ちっぽけとか失礼じゃないか。確かに部屋は狭くてちょっと汚くて隣の部屋からの音漏れ中々凄いけど、家賃凄い安いんだぜ? コーポポイズン田中(アパートの名前)に謝れ。
「呆れてものも言えないわ、キモい」
「言ってるじゃねぇか、実の兄に向かってキモいって」
相変わらず口の悪い妹だ。
「実の兄ねぇ……はぁ……」
「何ため息ついてんだよ、あ、ひょっとして俺が家を出ちまって寂しがってる感じ? 可愛い所あるじゃねぇ……うわっ!」
口の悪い妹は俺が珍しく褒めてやってる途中に、指先から電気の固まりを俺の顔面目掛けて撃ってきやがりました。間一髪避けれたけれど、後ろの壁に黒い焼け跡が残ってしまいました。やめろよ、部屋出る時金かかるだろうが。
「何しやがんだてめぇ」
「本当にキモい、この私がそんな事を思う訳がないでしょ、あんたなんて何処へでも行って野垂れ死にすればいいのよ、死ね」
「あのなぁ月夜(ツキヨ)。人に向かって簡単に死ねとか言うもんじゃねぇぞ? 人の命を簡単な物のように見てるからそんな軽口が言えるんだよ、それはよくないぞ」
「ウザいから説教しないでくれる? 落ちこぼれの分際で」
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