第1章

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「この、ガキが」 「だってこうでもしなきゃフリーで打たせてくんないんだもん、マサ。身長差もあるんだし大目に見てよ」 確かに直紀は身長168センチ、それに対して俺は178センチと10センチの差はある。 だが、 「俺とお前の実力差な、どう考えてもお前にハンデがつくのはおかしいだろ王子様よ」 「む、その呼ばれ方嫌いだって言ったよね?」 ボールを取りに俺の横をすり抜ける直紀は不機嫌そうな顔をしている。 それを知らん顔して俺はスリーポイントラインを超えて振り返った。 「全く、おら、早くボール寄越せよ」 手を直紀に向けて投げるよう指示、だが直紀はボールを持つと小走りで俺の前まで来て渡す。 「なんだよ」 「いや、やり返されたら勿体ないなって」 「アホか、俺はお前みたいに狡くねぇ」 「む、酷いなぁ」 そう、こいつと俺の間には身長差がある。 つまり、 「お前がいてもいなくても打てるんだよバーカ」 言い終わると同時に指を離れるボール。 実に綺麗に決まったと思う。
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