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「この、ガキが」
「だってこうでもしなきゃフリーで打たせてくんないんだもん、マサ。身長差もあるんだし大目に見てよ」
確かに直紀は身長168センチ、それに対して俺は178センチと10センチの差はある。
だが、
「俺とお前の実力差な、どう考えてもお前にハンデがつくのはおかしいだろ王子様よ」
「む、その呼ばれ方嫌いだって言ったよね?」
ボールを取りに俺の横をすり抜ける直紀は不機嫌そうな顔をしている。
それを知らん顔して俺はスリーポイントラインを超えて振り返った。
「全く、おら、早くボール寄越せよ」
手を直紀に向けて投げるよう指示、だが直紀はボールを持つと小走りで俺の前まで来て渡す。
「なんだよ」
「いや、やり返されたら勿体ないなって」
「アホか、俺はお前みたいに狡くねぇ」
「む、酷いなぁ」
そう、こいつと俺の間には身長差がある。
つまり、
「お前がいてもいなくても打てるんだよバーカ」
言い終わると同時に指を離れるボール。
実に綺麗に決まったと思う。
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