第1章

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そう言って雅人は笑った。 ゴミをビニールにまとめて入れる。 「さて、そろそろ帰るか」 立ち上がった雅人はゴミ箱に向かって歩く。 「あ、僕はまだここにいるから、先に帰ってて」 振り向かず雅人はおー、じゃあな。と手を振った。 ゴミ箱にゴミを投げ入れ、帰路につく。 雅人が見えなくなったところで、直紀は携帯を取り出した。 アドレス帳を開き、目的の番号を見つけ、電話をかける。 数コールの後。 「もしもし」 低い声が聞こえてきた。 「お久しぶりです、健二さん」 「おー、直紀、久しぶり。どうした?」 「あの…やっぱダメです、まだ踏ん切りついてないって言われました」 電話の相手、健二と呼ばれる男はため息を吐いた。 「そーか…ん、わかった、ありがとうな」 「いえ、それでは」 「あ、直紀、ちょっと待て」
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