第1章

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先ほど音がしたコートに戻る。 コの字型になっているフェンスの入り口で音を発している人物を見つけ、そのまま立ち止まった。 そいつはスリーポイントラインから(薄れていてラインは見えにくいが)から綺麗なフォームでボールを打つ。するとボールはリングに触れることもなく綺麗に入った。 そいつがゴール下まで歩き、ボールを手にして振り返ると僕と、いや、俺と目が合う。 その瞬間、パッと笑顔を咲かせた。 「マサじゃん!久しぶりー!」 「おう、久しぶり」 そいつ、木村直紀(きむらなおき)は俺に向かって歩いてくる。 「最近来ないからなんかあったのかと思ったよー」 「悪いな、テスト週間で忙しかったんだ」 「はー、そいやうちもそろそろテストだっけかなー」 直紀はここら辺で一番偏差値の高い赤山高校の生徒である。 「勉強しろ、バスケバカ」 「良いんだよー、授業中に聞けば覚えるしー」 なんて笑うこいつは本当に天才である。
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