27人が本棚に入れています
本棚に追加
「ったく……珍しく真面目な顔していたから、あたしもシリアスに乗ろうと思っていたのに」
「そりゃ無理な話だな。俺とお前だぞ。シリアス?なにそれ?食べ物?」
「それはシリアルだっての!」
くだらない漫才。だが2人は笑い合っている。
くだらなすぎて笑っているのもあるが、そんなくだらない漫才で同じ様に笑える2人、それが余計に2人のツボにはまる。
「いやーははっ、くっだらなー」
「マジでくだらんな!」
しまいには腹を抱えて笑う始末。他の誰とも共有出来ない2人の空気であった。
「何あんた、ましろと話す時でもこんなくだらない事を言ってんの?」
「んな訳あるかよ。こんな事言ってたら無表情が更に凍り付くじゃねえか」
「まさか委員長や龍に言ってるとか?」
「それこそ病院を紹介されちまうぞ!」
思わず想像してしまった。困った顔で優しく病院を紹介してくれる朝日に無言で病院へ電話をかける龍を。
そんな事を想像してしまったからには、更に笑いが込み上げてくる。横に居るミコトも同じ様に笑っているという事は、まったく同じ想像をしているのだろう。
友達として長く一緒に居るからこそ、こんなくだらない話を共に笑い合える。ミコトが俺の友達である証拠であった。
「そろそろ本気で病院紹介しなければいけないねあんたは。それとも小学校の方がいいかな?」
「笑いながら本音を漏らすんじゃねえ」
互いに身体は大人になっているが、2人で話す時は子供のままだ。それはとても大事でこの先ずっと今のままでいたい……本気でそう思っていた。
大事な親友ミコトと。
「あんた、調子に乗ってお笑い芸人目指さないでよ。基本的に面白くないんだから、目が出ず仕事も無くてのたれ死ぬのがオチなんだからさ」
「そこまで想像してんじゃねえよ!」
最初のコメントを投稿しよう!