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怒ったり焦ったり逆ギレと忙しいミコトは、最終的には諦めたかのようにため息をつき頭を垂れていた。
「はぁ……本気であきれるわあんたには……」
「何!?俺のせい?俺が悪いのか?」
まったく理解不能な俺だった。
「あんた、言葉には気を付けなさいよ。いつか捕まる前に刺されるからね」
「刃傷沙汰!?」
「あたしに」
「お前にか!?」
どうやら俺の命を狙っているのは夕日だけじゃなくミコトもだったらしい。
撲殺か刺殺か……畳の上で安らかな死を迎える事は出来なさそうだ。
「つーか、俺の軽口なんていつもの事だろ?何、そんなに不機嫌になってんだよ!」
「まあね。あたしも聞き慣れていた……つもりだったけど……」
体育座りに姿勢を変え、俺から表情を隠すようにミコトは膝に額を当てている。
そんな体勢でボソボソと呟いているのだから、難聴疑惑の俺じゃなくとも誰も言葉を聞き取れないだろう。
「ふぅ……あんたにはましろがいるから安心していたのに……動揺したって事は、それだけ本気だったのかな……今さら……でも、本当に今さらだよね……」
完全に顔を覆い隠したミコトの表情を伺う事は出来ない。だが、何となく落ち込んだような空気だけは感じとる事が出来た。
そんなミコトに俺は声を掛けれず、ただ隣で座っていただけ。
無力より何が起きているのか混乱していると言ったところだ。
それでも俺がこの状況を招いた事だけは理解している。しかし、何をすれば、何を言えばいいのか一切検討がつかない。
さっきまでの和やかな空気を消し去ったのが俺だと思うと、心臓が鷲掴みされているような息苦しさを感じてしまう。
それでも俺は肺の空気を絞り出すようにミコトに声を掛けたのだった。
俺とミコトの間でこんな空気でいたくない!そんな自分勝手な思いで……
「ミコト?大丈夫か?」
「うっさい!砂に埋めて校歌斉唱させるぞ!」
「西太后かよ!?」
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