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重なった荷物のように見えていたのだが、よく見ると荷物から手や足が生えていた。
そんな荷物の手が大きく痙攣しながら伸び、車の内側からドアを開けたのである。
ドアが開くと同時に転げ落ちる荷物。それは男女の死体?……
「ふおっ!龍っ!ミコトっ!」
転げ落ちてきたのは男の親友と女の親友だった。
「ぐっ……まだ生きて……います……」
「む、虫……の息……だけどね……」
普段の姿から想像もつかないぐらい2人は弱っていた。
いつでも爽やかな笑顔を浮かべ、感情を面に出さない龍。
いつでも明るい笑顔を振り撒き、健康的かつ犯罪的な肉体を持つミコト。
見る影も無い……そこにあるのは瀕死の肉塊だ。
「な、何があったんだ!?お前ら2人をここまでにするなんて、相当の手練れだぞ!」
「は、犯人は……そこですよ空……」
瀕死でありながら、最後の力を振り絞るように龍は指を指す。
俺はその指が指された方向へ視線を向けたのであった。
「ふにゅ?」
「犯人は幼女!?」
あっけらかんとした顔をしながら、瑞希元会長は変わらずの笑顔を浮かべている。
「うっぷ……本当に死ぬかと思ったわ……あんな恐怖体験2度とごめんだわ……」
「まさか……」
「ええ……例えるならF1マシーンにシートベルト無しで乗るようでした……」
「………………幼女、恐るべし」
この2人をここまで瀕死にさせる運転など、想像もつかない。しかし、現実に2人は瀕死なのだから疑いようの無い事実。
「危険運転ダメですよ瑞希元会長。『めっ!』です」
「にゃはは、『めっ!』されちゃた」
「……幼女に甘いわ……糖尿並みに甘いわ」
「誰が糖尿だ!?」
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