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止まった車から元気よく飛び出してきた瑞希元会長。免許取得したばかりで、運転そのものが楽しくて仕方ないみたいだ。
「ねえねえ、ちゃんと高速に乗れたよ!偉い?偉い?」
「はいはい偉いですね瑞希元会長は」
頭を撫でながら適当にあやす龍。しかし、視線はまだ人が残っているはずの車に向かっていた。
「本当に高速に乗るなんて……い、生きているかな?割りとマジで……」
「え、縁起悪すぎますよ北条さん……」
誰もが心配しながらも、最悪の事態を想定して車に近寄れないでいる。
そんな車のドアが開いた……
「おーい……生きているかー?返事をしろーましろー」
そんな呼び掛けに車の中からましろが降りてきた。
「……生還」
普段と変わらぬ無表情でましろは立っている。
「あ、あの運転から無傷だと……」
「いえ、無傷では無いようです」
最初の被害者である2人は気付いていた。……ましろの脚が小刻みに震えている事を。
「……わたし、二度と車には乗らないわ」
見事にトラウマを植え付けられたましろだった。
「とりあえず無事で良かった。で、もう1人の変態はどうしたましろ?」
どこかで振り落とされない限り、車には運転手の瑞希元会長以外にあと2人乗っていたはず。
1人はふらふらしながら出てきた。では、もう1人は?
ましろは顔を向けもせず電柱に向かって指を指す。
「うげーーーーっ!」
そこには遅い来る吐き気に耐えきれず、胃に残ったものを全て吐き出す男がいた。
「きゃぁぁぁっ!大丈夫ですか空くん!?」
「兄さん!こんな場所で迷惑ですよ!」
「ぎゃはははっ!みっともねえ!」
本気で心配してくれているのは朝日だけという事に悲しくなるが、今はそんな事に構っている余裕が無かった。
「まあ、そうなるよね当然……」
「出発時はヒーローに見えましたが、ゲーローになって帰ってきましたね……」
「……わたしも限界……えろえろえろ……」
「ぎゃぁぁぁっ!ヒロインがゲロインにー!」
2人並んで電柱に吐く最悪の絵面だった……
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