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恐る恐る瑞希元会長から携帯を受け取った後は、ひたすら携帯に向かい頭を下げる俺だった。
そんな俺を助けるように瑞希元会長は携帯を奪い間髪入れず話し出す。
「稲葉くんは今週末お暇だよね?だよね?海に行こうよ。うん、車を出して。高校在学中に免許取っていたもんね」
『……待て瑞希。久しぶりなのに開口一番それなのか?どうせお前の事だから、一ノ瀬達を巻き込んでいるんだろ?』
「正解だよマッスル先輩!」
『……一ノ瀬に代われ』
「ざーぜん!もう勘弁して下さい!」
携帯越しからでも感じる圧力など2度と味わいたくない俺は、全力で携帯を受け取るのを拒絶した。
「うん、わたしも車出すんだけどー、人数乗りきれないのだよー」
『足か俺は!?今週末って日曜日か?あー偶然、部活は休みだな』
「休みって!?いや、リーグ戦開始直前じゃないっすか?そんな大事な時に休みなんて余裕こいてる場合じゃないっすよ!休み返上して練習しなくちゃ!」
「……と必死に理由をつける空でした」
『……俺も行くぞ一ノ瀬!』
「ましろーっ!余計な事をしやがって!」
『余計な事だと?』
「いえ!楽しみでございます!稲葉先輩に会える日を心待ちにしております」
「空くんは相変わらず情緒不安定だね」
そこまで俺は先輩を嫌っているわけじゃない。だが……
「ふぅ……爽やかな海というより油ギッシュなバーベキューなんだよな先輩といると」
『一ノ瀬のたるんだ脂肪を燃やしてやる!』
「すいませんっしたー!っか、携帯持ってないのに、なぜ聞こえているんすか!?」
「だってテレビ電話だもん」
「ぬかった!」
「……携帯を持ってないのに先輩の声が聞こえる事を疑問に思わなかったのかしら?」
「「「「「アホだ」」」」」
「天然さんですね空くんは」
1人だけ感想の違う朝日も天然ではないだろうか?……美女は正義だから問題無い!
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