おまけ

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それにしてもこれは悪い流れになったものだ。話を反らした隙に稲葉先輩の参戦が決定している。 しかも、車の運転手としてほぼ確定だ。 実際に稲葉先輩の車には乗った事は無いが、体格に見合わない細やかな性格は運転においても心配無いだろう。 やはり最大の問題は瑞希元会長の運転だ。 そして何故か瑞希元会長は、俺のシャツの裾を掴み上目遣いで俺を見ている。 「乗ります!」 と即答してしまった…… 「やったー!空くんは賛成してくれたよー!稲葉くんの車だと……んーと……あと2人がわたしの車に乗れば……って、みんなは何をしているのかな?かな?」 「黙って下さい瑞希元会長!今から人生を賭けた勝負に挑むところですから!」 「負けられないわ!あたしの全てを賭けて勝負に勝つ!」 「こ、これ以上減らすわけには……」 「……ぶるぶるぶる」 殺気立ったじゃんけんをしようとしていた。 龍とミコトは本気のようだし、朝日とましろは青ざめた顔をしながら構えている。 しかし、そんな命掛けのじゃんけんに参加表明をしない人物が2人いた。 「あのー……私は別に瑞希元会長の車でも構いませんが……」 まさかの海が今までの惨事を見ながらも、あえて瑞希元会長の車に乗ると言ったのだ。 「ちょっ!?海ちゃん!?自殺願望?兄と一緒に自殺するつもりなの!?」 「いいえ、それだけは勘弁願います!心底勘弁願います!兄さんと一緒だなんて!」 「死そのものより一緒が嫌なのか!?」 「当然です兄さん」 「……どんまい兄」 「色々とやかましいわ!」 この中で1番年下だから気を使ったのだろうか?自ら瑞希元会長の車に乗るなど、ミコトの言う通り自殺願望があるとしか思えない。 だが、理由は至って簡単なものだった。 「兄さんと瑞希元会長を一緒にするなんて、危なくてしかたありません。せめて私が目を光らせなければ」 「兄、信用皆無だな!」 「当然です!」 「……どんまい兄」 「本気で同情してる雰囲気を出すな!」
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