おまけ

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一体、何が彼女を駆り立てているのだろうか? 日曜日まで数日あるというのに、海を引き連れて水着を買いに行ってしまったのだ。 そんな朝日にお伴するように、ましろ達女性陣も一緒に出て行ってしまう。 「あれっ?放置プレイ?」 「空にとってはご褒美ですね。僕にとっては、とばっちりですが……」 家に残されたのは俺と龍のみ。しかもご丁寧に朝日は龍に「勉強を教えてあげて下さい」と置き土産だ。 「まあ、今さら学園に戻る気も失せていましたから時間は空いているのですが……それじゃあ、今日1日のスケジュールを乱された鬱憤を晴らさせて頂きますか」 「待て!とばっちりは俺だろ!」 「いいえ、僕です。何が悲しくてこんな暑い日に男2人が顔を向き合わせなければならないのですか?」 どうやら龍の鬱憤は表面張力限界ギリギリらしい。言葉の1つ1つにSっ気が滲み出ている。 「請けてしまったからにはちゃんとやりますよ!いいですね空!逃げる選択肢は死を意味すると思って下さい」 「ちょっ!怖い!怖い!」 結局、俺は首根っこを持たれながら机に向かわされてしまった。 とても不機嫌オーラが湯水のように湧いている龍が後ろで構えているからには、手を抜く事など出来やしない。 何とか失った集中力を取り戻し、目の前にある問題集に手をつける。 しかし、その問題集は難しく朝日の教えを乞うていた場所であった。 「うーん……悪ぃ、ここ解らんのだが」 「どこですか?」 不機嫌でありながらも、頼まれた事に関しては律儀にこなす龍。俺の横に来て、近くで問題に目を向ける。 「ああ、これはですね……」 近くにあったペンを手に取り、説明しながら問題集にポイントを書いてくれているが、決して答えを教えてくれるわけじゃない。あくまでも自分で解く手助けをしてくれていた。 その教え方は朝日と同じであり、頭の良い人の教え方なのだろうか?と思ってしまう。 「聞いていますか?」 「イエス!頼むから指の間にペンを突き刺さないでくれ!」 肉体的制裁がある所が朝日との決定的な違いだった。
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