おまけ

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直接的な肉体攻撃は無いものも全て紙一重の攻撃に精神を疲労させながら、それでも俺は真剣に問題集に向かい合う。 真剣でなければ、この紙一重がいつ誤差が生じてしまうのか分かったもんじゃない。 間違いなくこの男はやる! 知っているからこそ、俺の集中力はMAXだ。気分は9回裏で1点差2アウト満塁フルカウントの気分。 本来ならそのような絶対絶命のピンチに力を発揮する俺だが、これは野球では無い。問題集なのだ。 海パン1丁でスキューバをするぐらい根本的に間違っている。 しかも、得意分野から遥かかけ離れている勉強だ。 どんなに真剣にやろうが、集中力を高めようが解らないものは解らない。 せめてもの救いは、俺のバカさ加減を龍が知ってくれている事だろう。だからこそ、素直に聞けば素直に教えてくれるのだ。 それでも「解らない=聞く」では俺の身にならない。それは、朝日から教えられた事であり、解らないなりにも解る努力をする事が自分の成長に繋がる。 何日便秘なんだ?と思わせるぐらい、踏ん張った低い唸り声をあげながら頭をフル回転させていた。 そんな努力を龍は認めてくれているらしく、次第に肉体攻撃は成りを潜めていく。 代わりに今度は精神攻撃だ。 「ところで空、お聞きしたい事があるのですが?」 「う"ぅぅぅぅ……なんだよ?」 「あれから冬月さんとの進展は?」 「進展?何が?」 「肉体関係についてです」 「……………………ミコトの指令か?」 「どうしてこのような時だけ頭の回転が早いのでしょうか?」 それは俺を買いかぶり過ぎだろう。別にこのような時だから回転が早いのでは無い。龍がこんなプライベートに自ら踏みいる男じゃないと知っているだけだ。 取り敢えず俺は依頼先へ文句を言おうと携帯を手にする。 すると勉強に集中していて気付かなかったが、メールの着信があったのだ。 俺は画像が添付されているメールを開く。 『セクシー水着発見!』 添付画像はこれまた際どい水着を着たミコトの姿。 「………………愛してるぞミコト」 「その言葉を冬月さんに言っているのかを聞きたいのです」
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