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「ばっ!言えるわけ無いだろ!こったらこっぱずかしい事、言えるわけ無いっちゃ!」
「いくら動揺してるからといって、どこの方言だか分からない言い方は止めてくれませんか?」
思った以上に精神的ダメージが大きいらしい。露骨に赤くなる顔、隠れて吹き出る腋汗がその証拠だ。
「まあ、日本人はそういう言葉をあまり口にしない人種ですからね。それに関しては譲歩しましょう。で、どうなのですか?」
「どうって言われても……」
意外にも龍の表情は真剣だった。
てっきりミコトとグルになり面白半分で聞いてきたものだと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。
「黙秘権は?……」
「当然、無しです」
「ですよねー」
どうしてか真剣な龍の表情を見ていると、話をすり替える事が出来ない気になってしまう。
人のプライベートをそこまで真剣に聞かねばならないのだろうか?
それが他人に深く踏み込まない龍だからこそ、疑問と裏にある何かを詮索してしまう。
しかし、詮索などという知力の勝負で俺が龍に勝てるはずが無い。
俺は心の中で白旗を上げ、全てを話してから理由を聞こうとした。
そう決めたのは良いが、いざ話そうとしたら恥ずかしいものである。話の流れや冗談交じりなら容易いのだが、構えて話すとなるとこれまた空気が違うのである。
そのせいか俺はキョロキョロと部屋を見回し、龍以外に誰も居ないのを確認していた。
「他の皆さんは買い物に出掛けて誰も居ないのは空も知っていますよね」
「いや、油断ならぬ!」
「何をそう警戒しているのですか?そんなにこの家は無防備なのでしょうか?」
「朝起きたらましろが布団に潜りこんでいたり、ミコトは部屋の窓が玄関だと思い込んでいるし……しまいにはこの前、海の友達でありミコトの後輩である腐人が昼寝をしていた俺にカメラを向けていた事が……」
「とっととセ○ムして下さい」
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