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大学進学を決意して以来、日夜勉学に励む毎日。そんな努力と家庭教師の朝日のおかげで、成績はうなぎ登りだ。
しかし、元々成績下位の俺は大学受験まで残り数ヶ月を前にして、偏差値がギリギリ足りていない。
追い込みをかける意味で、夏休みの間ほぼ毎日のように朝日が勉強を教えに来てくれている。
今日はたまたま夕日というオマケ付きだった。
「ここ計算違いですよ空くん。ケアレスミスに気を付けて下さい」
「イエス!マイティーチャー!&マイエンジェル!」
「……海……包丁」
「はい、冬月さん」
「なぜこの部屋に包丁が!?」
海とましろは俺の監視をしているのだろうか?これだけ毎日のように勉強を教えてもらいながら、2人きりになった事は1度も無い。
「もう!冗談ばかり!真面目にやらないと帰りますよ!」
「ソーリー!マイエンジェル!」
「そ、それが冗談だと言っているのです!」
「……と言いながら顔がニヤケているわ朝日」
「はうっ!」
「冗談はお前の顔だけにしておけよ」
「何だと夕日!お前も邪魔しに来たのか!?」
「うん。それと監視」
「清々しく即答するんじゃねえ!」
普段でもましろの邪魔が入るのに、夕日1人が加わると邪魔どころか一切集中出来ない。
「なあ、どこか2人きりで勉強を教えてくれないか?合宿みたいにさ」
「合宿!?お泊まり!?」
「貴様は何の勉強をするつもりだーっ!」
頭上から落ちてくる夕日の踵。俺が吹っ飛ばないように気の効いた攻撃だった。
「……おのれNTR」
「寝とりません!」
「その前に兄さんが寝ています」
夕日の踵は俺の意識を刈り取るには充分な威力だった。
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