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完璧に誰も居ないのを確認した俺は、覚悟を決め質問に答える。
「……………………まだ」
「チキン!」
「酷っ!」
「あなた方は付き合ってから半年ぐらい経ちますよね!それがまだ!?性的な病気なのですか!?それとも本当に鶏の化身なのですか!?はぁ……性欲の権化とまで詠われた空が嘆かわしい」
「ちょっ!龍、いくらなんでも酷すぎじゃ……」
「何か問題でも?それとも僕の言った言葉が気に触りましたか?鶏は人間の言葉を歪曲して伝わるものなのですか?」
言葉責めの散弾だ。全身に風穴が空くぐらい打ちのめされる。
しかし、このままでは生涯において龍に鶏として扱われかねない恐れを抱いた俺は、ちゃんとした理由がある事を龍に伝える。
「あのな……俺だってお年頃の男の子さ、人並みに性欲ぐらいあるさ」
「空の場合は人並みを軽々と超えていますけどね」
「ちゃかすなよ……それに、ましろの行動力だ。幾度となく手を出しそうになった事があるさ」
「別に2人の気持ちが一致していれば問題が無いと思いますが。それとも純愛などという夢物語に憧れでも?空からかけ離れた物語ですが?」
どうしてだろう……いつもより過激な龍に対し、怒りより哀しみの方が圧倒的に支配している。
自分でも気付いていないが、どうやら俺は心の中で龍には勝てないと敗北宣言をしているのだろう。
これだけ罵詈雑言を浴びせられながら、悟りの境地に入ってしまう。
「あまりに容赦無さすぎて、背筋がゾクゾクしてきたぞ」
「そうですか。良い病院を紹介しますよ。泌尿器科と精神カウンセリング」
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