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「空が『チキン』なのは今さらですし、ちゃんと考えている事は分かりました」
「チキン」と言われても、今の俺には否定する事が出来ない。今、なにより怯えているのは自分についてだからだ。
「では、最後の質問です。覚悟はいいですか?」
「覚悟しなきゃいけない事を聞いてくるのかよ!?」
「はい、重要な事ですから。返答次第では……あとは想像にお任せします」
「……優しく殺してくれ」
「返答次第です」
さっきまで美少女に囲まれ幼女と戯れ日曜日にパラダイスが待っていたのに、何故こうなった?
「それでは質問です……この事をちゃんと冬月さんに話しましたか?」
俺は瞬時に察していた。
その質問に対し、龍が俺の答えを知っているだろう事を……だから俺に残された道は1つしかない。
「い、言えるわけねえだろ!こんな事を言ってどうなる!?ますます、ましろに追い付けなくなるじゃねえか!」
逆ギレだった。
「こんな弱音を吐いても、ましろは変わらずだろうさ!それでも、包んでくれるだろう!だけどな、それじゃダメなんだよ!俺がましろを包んでやらなきゃ!ましろの場所を作ってやらなきゃ!」
乱れた息が俺の本気を表す。
「だから、それを冬月さんに伝えろと言う事ですよ。何も聞かされない不安というのも考えてあげて下さい」
そう言いながら龍は携帯の画面を俺に向けてきた。
画面にはましろの姿。
「と言う事らしですよ冬月さん」
『……ありがとう』
画面の中で小さく動くましろ。それは待ち受けなどではなく、テレビ電話の証拠だった。
「龍……優しく殺してと言ったはずだが……」
「おや?羞恥プレイで殺してあげたのですが?空にとってこれ以上の優しさが必要なのですか?」
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