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「ええ、ちゃんとお断りしましたよ。誰かさんのように」
どうしても人の古傷をえぐらないといけないのだろうか?今は事例を出すところではない!
「そうか……もったいない!」
「その言葉はそのままお返しします」
やっぱり古傷をえぐってくる。
逆にいたたまれなくなった俺は、椅子から立ち上がりウロウロしながら龍と話しだした。
「いや、前から思っていたんだが……どうして彼女を作らないんだ?俺が知っている限り5回は告られているだろ?」
「知らないのを合わせると8回になりますね」
「そうかそうか……8回ぶん殴っていいか?」
「16回ぶん殴り返しますけど宜しいですか?」
「倍返し!?」
やはり、このような冗談交じりになると話が進まない。俺が本気で聞いていないと察しているのだろう。それなら俺は冗談抜きで話しだす。
「マジでさ……告られた=付き合うってのも違うだろうけどさ、少しは気になりそうなのがいなかったのかよ?」
「そうですね……正直、そこまで考えていませんでしたね。気になる以前に、僕からすればほぼ初対面ですから。そんな一瞬で気になるほどインパクトのある方はいませんでした」
「でも何か無かったのかよ?可愛いなぁとか細いなぁとかおっぱいが大きいなぁとか……」
「初対面の方に告られているのに、そんな視姦などしませんよ」
そう言われると自分が汚ならしい人間に思えてしまう。
「まあ、相手の方からすれば初対面じゃないのでしょうね。ですから、僕に好意を持ってくれたのでしょうし」
「そりゃそうだな」
「でもそれは僕の外面だけ……内面を見てもらったわけじゃありませんから。それこそ誰かさんのようにね」
そう言って龍は爽やかな笑みを俺に向ける。
それに対し俺も照れながら笑み返してしまった。
龍の言う通りだ。確かに俺は美少女が大好きだ!愛してると言っても良いぐらい!そして、何の偶然か俺の周りには美少女が揃っている。
だが俺はその美少女達の外見だけが好きなのでは無い。内面も含め……いや多分、内面が好きなのであろう。
だから俺はましろを選んだ。
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