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そんな俺を目覚めさせたのは、お姫様からのキスのように素敵なものではない。
「……こう?」
「そうそう!もっと捻るように」
「ぎゃぁぁぁぁっ!!」
左腕に走る激痛だった。
何故かましろが夕日の指導の基で俺の左腕に腕十字を極めている。ご丁寧に指導する夕日は俺の右足にアンクルホールド。
「ぬおおおおおっ!!何この激痛!?左腕と右足に新しい痛みがーっ!」
「目覚めたか?」
「新しい世界に目覚めそうだよ!」
「……うぇるかむ」
「そんな世界に行くかーっ!」
毎度、ましろの精神攻撃に悩まされていたが、夕日の肉体攻撃に比べれば可愛いものに思えてしまう。
命の危険が無いだけ……
気が済んだのか、ましろと夕日は同時に技を外してくれた。その表情から察するに満足したのだろう。
この2人に何を言っても無駄だと悟った俺は、涙を流しながら再び机に向かう。
そんな俺を青ざめながら見る朝日と、夕日から技のレクチャーを受ける海。
「朝日……俺のお姉ちゃんになってくれ……」
「そ、それは出来ないので……す、すみません……」
本気で謝る朝日だった。
挫けそうになるぐらい邪魔が入るが、それでも自分の為、何より俺なんかの勉強に付き合ってくれている朝日の為に集中を高める。
しかしと言っていいのか?やっぱりと言っていいのか?またまた邪魔が入る。
それは窓の外からであった。
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