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「つまり何だね君達は……俺と龍をしばらくの間、観察していたという事なのかな?」
「「凝視です!」」
「うん、そうかそうか……もっとタチが悪いわ!追い出すぞ龍!」
本気で追い出そうと2人に近寄る。そして目の前に立った瞬間、カメラのシャッター音が聞こえた。
「君達!何を激写した!?」
「「私達じゃないですよー」」
確かに正座している2人の手にはカメラの存在は無い。
「あっ、僕です」
「何ゆえ!?」
思わぬ盗撮に目が飛び出そうなぐらいビックリしてしまう。
「いえ、ここから見るとですね……空が2人にいかがわしい行為を強要しているように見えて……」
「マジか?」
ちょっとだけ興味を持った俺は、携帯を持つ龍の横から今撮った写真を覗きこむ。
「こりゃ絶妙な位置取りだこと……」
写真を見ると、そこには俺の下半身と2人の顔が平行に位置している。
しかも、中途半端に俺もカメラから斜め後ろに写っているものだから、ご奉仕写真と言われれば説明に時間が掛かりそうだ。
「御二人が空を狙う理由が分かるような気がしますね。こんな不用意な写真を簡単に撮れるのですから」
「「ですよねー澤村先輩!」」
「そこ、同意しない!」
神出鬼没な2人だけじゃなく、いつも身近に居る龍にまで狙われたなら、俺に安息の地は無くなるだろう。身近にそんな事をするヤツはミコトだけでお腹いっぱいだ!
そんな危機感を感じていると、再び携帯から軽い音が流れる。
「ん?何の音だ?」
「あっ、はい、あまりに面白画像でしたので写メを送ってみました」
「誰に!?」
「海さんにです」
「………………………………」
その後、俺の携帯から着信音が鳴り響く……それに出る覚悟は、どうしても持てなかった。
「なんて素晴らしい利用方!」
「さすがです!澤村先輩!」
龍に感心を示す2人にツッコミを入れる余裕が、今の俺には有るはずが無かった。
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