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どうしてこのタイミングで夕日が乱入してくるのだ?俺が妄想で朝日を辱しめるのを察知したのか?
「嫌な予感がして走って戻ってきたら……貴様は何の勉強をしてる?」
「いやいやいや!嫌な予感って何だよ!?都合良すぎるだろ!」
「ご都合主義だからな」
そう言われると返す言葉が無い。メタ発言に何を返せと言うのだろうか?
「つーか、買い物は終わったのかよ!?まさか、買い物最中に予感したわけじゃないだろ?」
「買い物して帰る最中だ!途中から全員ぶち抜いて走ってきた」
「お前は短距離アスリートか!?」
「ちなみに2位は海ちゃんだ。このあたしでも危なかったぞ」
この全身筋肉+脳筋女が危なかったと言うぐらい接戦だったのだろうか?
流石です妹様!
などと悠長に構えている暇は無い!
既にゴールしている夕日と競ったという事は……
「すまん龍!後は頼んだ!」
「何を頼まれたのかは察してあげますが……どうして逃げようとするのに窓へ向かうのですか?」
咄嗟の判断で俺は窓へ逃げようとしていた。ここが2階である事も構わずに。
しかし、そんな脱走を謀る俺を易々見逃すはずが無い人物が1人。
「どこへ行くのかな?」
完全に猫を被った声で俺のシャツの裾を握る夕日だ。
「ぬぁぁぁぁっ!キメェ!何、可愛く言ってんだよ!全身に鳥肌がっ!」
「なっ!?なんだとーっ!」
服の裾を握り可愛く言い演技とはいえ可愛い女の子を完璧に演じていた夕日だが、俺の暴言にあっさり本性を現した。
「死ね!」
たった一言物騒な言葉を吐き巴投げで俺を投げ飛ばす。
投げっぱなし巴投げをくらった俺は、回転しながら入り口を通り抜け廊下の壁に激突する。
「痛ってー……がしかし、温いな夕日!壁への激突ぐらいでこの俺が……」
「いいんだよそれで」
「いいって?何が………………あ!」
「海ちゃんへのパスだから」
壁にもたれ掛かる俺の横には、素敵過ぎる笑顔で立つ海が居た。
「兄さん……ちょっとお話が……」
「あああああああああっ!!」
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