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耳を突き刺すようなノイズまみれの高音が外から聞こえてくる。その音は間違いなく車の急ブレーキ音だった。
こんな住宅街で急ブレーキをかけるという事は事故?そう思った俺は、窓から身を乗りだし外を見る。
「……箱乗り?」
「昔のヤンキーかよっ!」
窓から上半身を飛び出させながら俺は周りをキョロキョロと見るが、事故らしき形跡は見当たらない。ただ、1台だけ俺の視界に車が入っていた。多分、この車のブレーキ音だろう。
大勢が乗れそうな大型の車は、何故か家の前に止まっている。
親戚?と記憶を呼び起こしてみるが、記憶の片隅にもこのような車を所持している親戚はいない。
じぁあ、どうして家の前に?
そんな疑問が頭をよぎった瞬間、いきなり玄関のチャイムがリズムに乗って鳴り響いた。
「うるせえ!8ビートでチャイムを鳴らすな!」
非常識なチャイムの音に苛立ちを感じた俺は、玄関に向かおうとした海を制し自分で行く事にしたのである。
猛ダッシュで向かう玄関。その間もチャイムの音は止まらない……どころか16ビートへレベルアップしていた。
俺は怒り任せに何の確認もせず、いきなりドアを開ける。
「ロックかよっ!」
ツッコミと同時に。
しかし、開けたドアから人の姿は見当たらない。
「えっ?あれ?……」
無人でチャイムが鳴るはずがない。となると……
「ピンポンダッシュ?子供のイタズラか?」
何となく腑に落ちないが、勝手に結論付けた俺はそのままドアを閉めようとする。
「に"ゃっ!スルー?ここ!ここだよー!」
聞き覚えのある声、俺はその声のする方へ顔を向けたのだ。……下へ。
「幼女!もとい瑞希元会長!」
「開口一番『幼女』呼ばわりなんだね……大学生に対して……」
今年卒業した合法ロリ幼女の瑞希元会長がちょこんと立っていたのだった。
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