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車から荷物を運び砂浜にパラソルを刺す。そんな簡単な作業だが、どうにも稲葉先輩の持つクーラーボックスの量が異常だ。
あなたは某釣り船屋のボクシング日本チャンピオンですか!?とツッコんでしまいそうになるぐらい、クーラーボックスを抱えている。
「何すか?この量?」
「俺に聞くな!」
どうやらこのクーラーボックスの持ち主は幼女らしい。
「女の子は色々物入りなのです」
「いやいや、明らかに常軌を逸していますけど!?」
その中身はバーベキューの食材や、氷水に浸かった大量の飲料らしい。
9人分の飲料、しかも氷水入りのクーラーボックスを軽々持つ稲葉先輩も常軌を逸していた。
「先輩……大学に行って更にマッスル度合いが……」
「仕方ねえだろ!怪我は完治したが、その間に落ちた筋力を補う為だ」
にしても、高校時代と筋肉の付き方が全く違う。
まだ水着姿になっていない男連中はラフな格好だ。当然、稲葉先輩もジーンズにTシャツという格好なのに、ジーンズから盛り上がる筋肉やむき出しの腕の筋肉が溢れんばかりのパワーを感じさせる。
「つーか、一ノ瀬はどうなんだ?聞いた話では受験勉強で追い詰められているらしいが……少しは練習してるのか?」
「はあ……少しだけですけど……」
「少しだけ?」
ギラッと目を光らせた稲葉先輩が近付いてくる。
「脱げ一ノ瀬!」
「っ!?いや~っ!犯される~っ!」
「服を引き裂いてやるか?」
「少々お待ちください」
目力と低音で迫力のある声に俺は逆らえなかった。
言われるがまま俺はTシャツを脱ぐ。
「……キレてまーす」
「ボディビルかよ!」
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