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せっかく海に来たというのに、せっかく晴天に恵まれたというのにだ、俺の心は敗北感で荒天だ。
そのせいか、真っ先に海へ飛び込むつもりだったのに、自分でも知らぬ間にパラソルの下で体育座り。
パラソルを挟んで朝日も体育座りだった。
「……なにかしら?この日陰が似合う絵面は?」
ましろが納得してしまうぐらい、日陰の似合う2人だ。
「海に入ってきていいぞ。俺は荷物番しながら回復に努めるから……」
「はい……私もです……」
「……そ、そう……じゃあ行ってくるわ」
俺が朝日と2人きりになる状況を許してくれるぐらい、重い雰囲気をまとっているのだろうか?
ましろだけじゃなく夕日までこの状況を邪魔しようとしない。
他の連中も遠目から眺めているぐらいだ。
気を使われた俺達は、海に突進していくみんなを見守っていた。
「まさかこんなダメージを受けるとは思わなかった……」
「私はダメージはある程度覚悟していたのですが……想像以上にダメージが……」
そんな事を言う朝日だが、俺からしたら「なぜダメージを受けなきゃならない?」という気持ちでいっぱいだ。
確かにボリュームという面についてはあえて発言を控えさせてもらうが、別にボリュームだけが女性の全てではない。
トータルバランスで見れば、朝日は決してミコトや夕日などに負けていない。
その証拠に俺という者が隣に居ながら、すれ違う男共が横目で朝日を見ている。
それは哀れむ目じゃなく、惹かれている目。
その都度、睨みを効かせている俺の顔面は筋肉疲労を起こしていた。
「顔のストレッチですか?」
「いえ、魔除けです」
「はあ?」
俺の地味な苦労を悟ってもらえなかった。
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