おまけ

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「瑞希元会長も知っての通り、ましろに少しでも追い付く為……いえ、追い付く為のスタートラインに立つ為ですよ」 自分でも恥ずかしい事を言っているのは分かっている。だが今は、そんな言葉に恥ずかしがる事は無かった。 真剣に聞いている瑞希元会長を前にして恥ずかしがってなどいられなかったのだ。 瑞希元会長に応えるような真面目な返答は、更に真剣な疑問を作り出していく。 「疲れ……ないの?」 「そりゃ疲れますよ……でも、自分で決めた道ですから」 「自分で決めた……」 「毎日勉強、毎日トレーニング、その為だけに生きているのかって思うぐらいです」 「そんな思いまでして、どうして足掻けるの?」 「そりゃ自分の為ですから」 「自分の?空くんはそういうタイプじゃなかったよね?どちらかといえば周りばかり見て」 「否定はしませんよ。でも、最近になってやっと気付いたんです」 「気付いた?」 「はい。俺が足掻いて結果を出せた時に喜んでくれる人が居る事を。成績が上がった時、自分の事のように喜んでくれる朝日や、憎まれ口を叩きながらも誉めてくれる夕日やミコト……」 そして俺は真面目な話だからこそ言える、普段なら恥ずかしい言葉を口にした。 「俺が1歩でも前に進んだ時、優しい笑みを浮かべてくれるましろ……その笑みが見たくて足掻けているんですよ。俺がましろの笑顔を見たい。そんな自己満足の為だけに足掻いているのかもしれませんね」 「……そっか~……そうなんだ……」 瑞希元会長の疑問に答えれたのかは分からない。だが、俺が足掻き続ける理由を隠さず話していた。 満足そうな瑞希元会長。真剣な表情は緩み、活発な笑顔が甦る。 「ましろちゃんLOVEだね~ねえねえ、言っちゃってもいいかな?かな?」 「いいわけあるかい!」 「でもでも」 どうしても言いたそうな瑞希元会長は足をバタバタさせながらウズウズしている。その姿に萌えを感じた俺は、危なく言いなりになりそうだったのを知られてはいけない。
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