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「でも凄いよ空くんは。自分の為、ましろちゃんの為とはいえ前だけ見続けてさ。どうせ疲れても自分から泣き言なんて言ってないんだよね?」
「そりゃそんな姿を見せられませんから」
「ましろちゃんに?」
「いや……海にです……そんな姿をさらしたその日には……」
「兄妹って何だろうね~?」
「何でしょうね……マジで……」
一ノ瀬家の上下関係など今更言うまでもない。問題は瑞希元会長がこんな話をし始めた事が問題だった。
「本当にどうしたんすか瑞希元会長?せっかく海に来たのにアンニュイじゃないっすか」
「にゃはは……そんな日もあるよ」
「まさか……初潮が始まっ……」
「朝日ちゃ~ん、ここにセクハラ魔神が……ついでに夕日ちゃんも海ちゃんも稲葉くんも呼んだ方がいいかな?かな?」
「身も心も廃人にするつもりですか!?」
本気で召喚しそうな瑞希元会長の口を抑え、悪魔騎士の召喚を未然に防ぐ事に成功出来た。
「勘弁してくださいよ瑞希元会長。まだ死ねないですから」
「本気で恐れているんだね空くんは……お姉さんにセクハラ発言する罰だよ」
「お姉さん……」
これ以上、召喚の可能性を高めない為にツッコむ言葉を飲み込んだ。
俺が何も言わないのを肯定ととったのか?瑞希元会長は太陽のような笑みを浮かべていた。
そして1人で何か気付いたように、うんうんと首を上下させる。
「そっか~自分の為、ましろちゃんの為に足掻いて、海ちゃんやみんなに支えられているんだね」
「まあ、そんなところっすかね」
「じゃあ、わたしも支えてくれる?」
そう言って俺の顔を覗き込んできた瑞希元会長の表情は固かった。
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