おまけ

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「でもね……今まで躓かなかったからといって、これからも躓かないとは限らないんだよ……」 コロコロと変わる瑞希元会長の表情。いつも通りでいたい。それでも弱い自分が垣間見えてしまう。 そんな風に俺には見えていた。 「躓いてこなかったからこそ躓いた時にどうしたらいいのか分からない……どうやって立ち上がれば……どうやって前を向けば……」 その姿は未来に怯えていた。 そして、その姿は……俺が最初に野球を捨てた時の姿に似ている。 大事なものを失い、この先何を失ってしまうのか……そんな風に前に怯える姿。 それなら俺が言える事はある。 俺が経験してきた道。それをこれから経験してしまうかもしれない人に伝えるのは当然の事だろう。 同じ想いはして欲しくない。仮にしてしまったとしても、早く立ち上がって欲しい。 あの苦しみを知っているからこそ、俺は伝えなければならないのだ。 「俺が居ますよ瑞希元会長」 「………………プロポーズ?ごめんなさい!」 「即否定!?真面目に答えているんですから、ちゃかさないで下さい!」 「いや、だって~……普段の行いが悪すぎるんだよ多分」 瑞希元会長にとって俺はどのように見られているのだろうか? 走馬灯のように自分の行いを思い返してみた結果、瑞希元会長がこのような事を言うのも納得してしまう自分がいた……
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