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「自慢じゃありませんが、俺が今まで何回躓いたと思っているんすか?そりゃもう死んでいてもおかしくないぐらいっすよ!」
「うん……それは知っているけど……そして今また死にかけているけどね。あの遠くから見ている海ちゃんの視線」
「……後で弁解お願いします……心からお願いします」
どうやら海の目には、幼女と二人きりというシチュエーションにしか写っていないらしい。
それもそうだろう。俺と瑞希元会長が冗談まじりでありながら実は真面目な話をしているなど、今までの行いを考えればそう思わせるのは不可能である。
「とりあえず今は海の事はスルーして……今はですからね!後で必ずフォローして下さいよ!必ずですからね!」
「兄、必死!?」
いまいち信用ならないが、このままでは話が一向に進まないと思った俺は、冗談の入る隙間も無いぐらい真剣な表情で話し出す。
「当然、瑞希元会長は俺の高校時代しか知りませんよね」
「うん、高校といっても龍くんが生徒会に入ってしばらくしてからだけどね」
「その時の第一印象はどうでしたか?」
「変態さん!」
「……今は真面目な話をしているのですが」
「だってだって……初対面でいきなり高い高いしたんだよ!名乗る前に!そんな人が変態さんじゃなくて何だというのかな?かな?」
これを自業自得と言うのだろうか?真面目な話を出来ない状況を作った過去の自分を殴りたくなっていた。
「まあいいです……そんな変態さんですが、中学時代は荒んでいたんすよ。どうせ瑞希元会長の事ですから稲葉先輩あたりから聞いていますよね」
「うん……」
その頃の俺は本当に荒んでいた。自暴自棄が人の皮を被ったように、全ての不幸を背負ったように……情けない姿を晒していた。
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