おまけ

79/104
前へ
/104ページ
次へ
「今だから笑って話せますが、当時は酷いもので次は何を失う?何を裏切る?そんな事しか思い浮かばない状況だったんすよ」 「今だから笑える」とは言ってみたが、やはりこの話をすると肩の古傷が疼いてしまう。 それは乗り越えきれていない……いや、背負い続けなければならない過去だからかもしれない。 「そんな俺を助けてくれたのが……」 「知ってるよ!夕日ちゃんだよね!でもどうやって?」 「……川に流されて」 「どうやってそれで立ち直ったの!?」 行動だけみると本当に酷い話で、それで立ち直った俺はドMの極みかもしれない。 「まあ、あいつが何をしたのか何を言ったのかは川に流して……結果として夕日がいたから立ち直れたわけですよ」 「……夕日ちゃんLOVE?」 「Nooooooo!寿命が一気に縮まるじゃないっすか!あんな暴力猪!」 「誰が暴力猪だーーーっ!」 何故聞こえる?何故現れる?俺とお前の距離は100m近く離れているはずだ!なのに何故お前は瞬間的に現れ、俺にシャイニング・ウィザードをぶちかまして去っていくのだ? 神出鬼没な猪に対する疑問は尽きないが、それについて考える事は出来なかった。 「大丈夫?首が変な方向に曲がっているよ」 「ええ……何とか……」 慣れというのは恐ろしい。夕日の攻撃に耐性が出来ているようだ。 「あんなヤツですが、それでも俺にとっては大事な……」 「やっぱり夕日ちゃんLOVE!?」 「やめて!これ以上はサンドバッグになりかねない!」 「大事な友達」と伝えたいだけなのに、どうして命を危険に晒さなければならないのだろうか?
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加