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「今だから笑って話せますが、当時は酷いもので次は何を失う?何を裏切る?そんな事しか思い浮かばない状況だったんすよ」
「今だから笑える」とは言ってみたが、やはりこの話をすると肩の古傷が疼いてしまう。
それは乗り越えきれていない……いや、背負い続けなければならない過去だからかもしれない。
「そんな俺を助けてくれたのが……」
「知ってるよ!夕日ちゃんだよね!でもどうやって?」
「……川に流されて」
「どうやってそれで立ち直ったの!?」
行動だけみると本当に酷い話で、それで立ち直った俺はドMの極みかもしれない。
「まあ、あいつが何をしたのか何を言ったのかは川に流して……結果として夕日がいたから立ち直れたわけですよ」
「……夕日ちゃんLOVE?」
「Nooooooo!寿命が一気に縮まるじゃないっすか!あんな暴力猪!」
「誰が暴力猪だーーーっ!」
何故聞こえる?何故現れる?俺とお前の距離は100m近く離れているはずだ!なのに何故お前は瞬間的に現れ、俺にシャイニング・ウィザードをぶちかまして去っていくのだ?
神出鬼没な猪に対する疑問は尽きないが、それについて考える事は出来なかった。
「大丈夫?首が変な方向に曲がっているよ」
「ええ……何とか……」
慣れというのは恐ろしい。夕日の攻撃に耐性が出来ているようだ。
「あんなヤツですが、それでも俺にとっては大事な……」
「やっぱり夕日ちゃんLOVE!?」
「やめて!これ以上はサンドバッグになりかねない!」
「大事な友達」と伝えたいだけなのに、どうして命を危険に晒さなければならないのだろうか?
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