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「別にあの時、夕日だったから助けられたというわけじゃないっすよ。もしかしたら、それが朝日だったりミコトだったり龍だったりましろだったり……それは無いか」
「彼女さん扱い悪い!?」
「つまり俺が言いたいのはですね、どんな状況でも友達が何とかしてくれるって事です。他力本願な話ですけどね」
これも今だから分かる事である。あの時は夕日に助けられた。ミコトはあの時助けられなかったと後悔しているようだが、ミコトが近くに居てくれた事がどれだけ頼もしかっただろうか。
ただのクラスメイトであった当時の朝日も、多分今ぐらい仲良くなっていれば間違いなく俺を助けてくれただろう。
それに高校に入ってから出会った龍や瑞希元会長……既に大阪に行っていた稲葉先輩……そして、ましろ……
「恵まれているもんね空くんは。そりゃ、怪我とか決して順風満帆とは言えないけど」
「そうっすね。それは全面的に同意します。もしかしたら怪我があったからこそ、こんな出会いが出来たのかもしれませんね」
「怪我の巧妙?」
「いいえ、怪我なんて……躓かないにこした事はありませんけど……それでも、仮に怪我がみんなを繋げたとしたら……それはそれで」
夢を失う怪我を2度も繰り返した俺。再び夢に立ち向かう勇気をくれたのは間違いなくみんなだった。
だから感謝しよう
受け止めよう
この怪我を
みんなを繋げてくれた肩を
俺はそっと壊れた右肩に触れる。
悲壮感の無い表情は、隣に座る瑞希元会長を優しい笑みにさせていた。
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