おまけ

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短い沈黙されど体感速度はとても長い。こんなプレッシャーに押し潰されず、頑張っている俺を誉めたいぐらいだ。 そもそも、どうして俺はこんな状況に陥っているのだろう?一体、俺が何をしたというのだ?否、何もしていない! 何もしていないのだから、こんなに背筋を丸める必要は無いのだ。 そう……俺は何も悪くない! 「………………兄さん」 「すいませんでしたーーーっ!」 海の声が引き金を引いたように、俺は盛大に土下座をしていた。それはもう、頭が砂にめり込むぐらい深々と。 もう、俺が悪いとか悪くないとか関係無い!このプレッシャー地獄から解放してもらう為に、俺に出来る事は1つだけなのだ。 そこには兄のプライドなどありゃしない……その前に、そもそもそんなプライドなどとうの昔に霧散しているが…… 「はぁ………………頭を上げて下さい兄さん」 「いやいやいや恐れ多い」 「兄さんは何に向かって頭を下げているのですか?」 「マイシスター様でございます!」 「はぁ………………声が大きいですよ兄さん……周りの人に丸聞こえです」 頭を上げ周りを見てみると、俺に一点集中していた視線はいつの間にか海とセットになっていた。 そして聞こえる小さな声。そのどれもが、俺らが兄妹の関係を疑う声ばかりだった。 特に俺の方が兄である事を。 「とりあえず兄さん、隣で普通に座って下さい。私は兄さんと違って目立つのは苦手なので」 どんなに本人が望まなくとも、自然と目立つ容姿をしている海。視線が集中してしまう事に慣れていると思っていた。 「またまた、去年の学祭でネコミミメイド姿でステージに立っていたくせに」 「兄さん……記憶の消去方法として、頭部へのダメージという選択肢がありますが……」 「すみませんでしたーーーっ!」
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