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とりあえず状況を説明しよう!それが無駄に終わるかもしれないが、少しでも可能性に賭けたいのが本音だ。
そう思った俺は、息継ぎをするのを忘れ早口言葉のように説明する。
「はぁはぁはぁはぁ……」
「兄さん、距離が近いので離れて下さい」
俺は1歩も動いていない。興奮して前のめりにもなっていない。海との距離は座った時と同じく1m近く離れている。
それなのにこの仕打ちだ……
俺の説明を聞いていたのかなど、どうでもよくなるぐらい心底落ち込んでしまう。
「まあ、事の次第は分かりました。この件については兄さんに非が無い事は認めましょう。この件については……ですが」
「分かってくれたか海!俺は何もしていない!はめられたんだ!」
「犯罪者はそう言いますよね」
どうやら俺は完全に犯罪者扱いされているらしい。
だがこの件については、俺は被害者なのだ。ロリ妖精にほっぺにちゅうというご褒美があろうと、それ以上のプレッシャーを与えられているのだから。
精神的に死んでしまいそうなプレッシャーから解放された俺は、加害者の方を見る。
さっきまで笑い転げていた瑞希元会長は、酸欠を起こし大の字で寝転がっていた。
「ざまぁ……と言うべきなのか?」
「兄さんを見て笑いっているのですから、どちらかというと兄さんが負け組ですよ」
「負け組……」
どんな言葉よりその言葉が今の俺には、じわじわと侵食するように心を黒くしていったのだった。
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