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「ったく、あいつはいつか不慮の事故で殺人を犯すぞ」
「その場合、相手は兄さんだと思います。夕日先輩は兄さん以外に暴力をふるっている姿を見た事が無いですからね」
それは海と夕日が学年が違うからではないか?と思い、学園生活を思い返してみる。
「ふおおおっ!頭痛が!」
「もはやパブロフですね兄さん。記憶を甦らせるだけで苦痛を伴うなんて」
なんと恐ろしい……どうやら夕日の攻撃は肉体のみならず俺の真相心理にまで確実にダメージを与えていたようだった。
それでも海の言った事が気になった俺は、精神負担にならないよう留意しながらさらっと学園生活を思い返してみる。
そして、海の言ったように夕日が俺以外の誰かに暴力をふるっていなかった事に気付かされてしまったのだ。
「特別扱いだと!」
「ものは言い様ですね兄さん。ただのオモチャだと思います」
まだ海のSっ気は成りを潜めていなかった。
「夕日先輩はこの傷の事を知っているのですよね……だからでしょうか?私の前では決して右肩を攻撃していないのですよ」
「いやいや、あのゴリラに限ってそんな気遣いは……」
そこまで言われて気付いたのである。
あらゆる打撃、投げ、関節技、時には空中殺法まで駆使し俺を痛ぶってきた夕日だが、1度たりて右肩を攻撃してきた事が無い。
「いや……偶然だろ……」
「どうですかね?何回か兄さんの右肩について聞かれた事がありましたよ」
「完治してから再起不能に落とすつもりか!?」
「そろそろ夕日先輩に対する見方を改めた方が良いと思います」
それは海の提言であったとしても無理な話だった。
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