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まるで憑き物が落ちたかのように軽やかな足取りでましろ達の元へ駆け寄っていく海。
俺はその姿を心ここにあらずで見ていた。
あんな笑顔を見せられたその日には、現実世界になどいていられるもんか!
「………………結婚して下さい海」
「おい!犯罪者!」
辛辣なツッコミと同時にビーチサンダルが頭を打ち抜く。
「おぅっ!……優しいツッコミをありがとう」
「ビーサンで優しいとか言われても。あんたのMっ気は成長期真っ只中だね」
そんな成長期は一生きて欲しくない!
俺をビーチサンダルで叩いたミコトは、何事も無かったかのように俺の隣で腰を据えた。
「どうした?俺と一緒に居たいのか?」
「お約束と言えば聞こえがいいけど、つまらない男ねあんたは」
「やめろ!それは意外とダメージが残る!」
ミコトは俺を精神的に痛め付けに来たのか?
さっきまで海の笑顔の余韻が一気に消え去ってしまった。
その代わり、パラソル越しでも迫力を感じるそのダイナマイトバディに浮かれる自分がいる事も悟っていたのだ。
「しっかしミコト……」
「ん~何?」
「良い体だ!」
「あんたを一度、外人だらけのサウナに突っ込んでやりたいわ!」
「やめて!怖い!」
ダイレクトなセクハラ発言が出来るのもミコトだからだ。それは長年の付き合いも理由だが、俺が心から気を許している一番の女友達。
ましろや海とは違う、大切な友達なのである。
「ふ~む……あそこのイケメンと比べたらあんたウツボみたいだね」
「どういう意味だ!?」
多分、ミコトも俺を友達だと思ってくれているだろう……そう願う。
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