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「そんな事より、空は海に入らないのかい?ずっとパラソルの下で黄昏ているでしょ?老人みたいに」
「黄昏る程1人じゃなかったけどな。そして、老人は海には行かない!」
別に海に入りたくないわけじゃない。ただタイミングを失っていただけだ。
「なんとなくだな、俺はここでみんなが来るのを待って話を聞かねばならぬ気がしてだな、そういう展開なのかと」
「何?そのメタ発言?」
メタ発言の真意が俺の心の声かどうかは別として、実際にこうも入れ替わり立ち替わり人が来ていたら、その場から動けなくなっているのも事実。
それどころか気分はバーのマスターだ。
「で今日はどのような悩みを俺に聞いて欲しいのかね?」
「あたしの友達の妄想癖をどうにかしてもらいたいわ」
「そりゃ無理な話だ」
「じゃあ聞くなよ!」
使えないバーのマスター業はあっさり廃業してしまう。
「いや~あんた瑞季元会長や海ちゃんと時々真剣な顔して話ていたからさ、ちょいと気になってね」
「よく見てたな」
「まあね。視野広くするように普段から気を付けているから」
アナウンサー志望のミコトらしい心構えだった。今から将来に向け日々努力を怠らないのは尊敬に値する。
「お前、見た目はビッチなのに何気に真面目だよな」
「そこまで真っ正面からケンカ売ってくるのはあんただけだよ」
といいつつミコトの表情は苦笑いだ。これが積み上げた年月が作り出した関係なのだろう。
「あんた、さっきから男にばかり狙われているからね。こんな美味しいシチュを見逃せるわけないじゃないの」
「見逃してくれ!そして気付いているのなら助けてくれ!本気でお願いします!」
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