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「怖…かった…っ」 ぎゅっとシャツにしがみつくと、戸惑ったように少し体を離された。 「あの…服の胸元が」 言われて見ると、ボタンが飛んではだけている。 「…塩見さんならいい」 それを聞いた塩見さんは、しばらく躊躇った後また私を引き寄せてあやすように背中をなでてくれた。 「吉野さん?」 少しした後、穏やかな声に呼ばれる。 顔を上げると、唇の触れそうな距離に塩見さんの整った顔があった。 …メガネがないとびっくりするぐらい綺麗なんだけど。 「しお…、ち、近いですよ」 「メガネがないとちゃんと見えないので」 笑った塩見さんが穴が開くほど私を見てくる。 私は私で、泣きぼくろがある、とか肌が綺麗だなぁ、とか思って見つめ返していると、 「吉野さん、メガネ越しじゃない方がよっぽど可愛い」 「えぁ…っ、ちょ、」 至近距離での呟きに真っ赤になったのが自分でも分かった。 あたふたしている私を、塩見さんが再びそっと抱きしめる。 「こんなに可愛くて素敵な人が、無事で本当によかった」 ーーー塩見さん。 私、きっと、あなたが好きです。 …そして。 「こんにちは!」 私は今日もまた古本屋へ行く。
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