第1章

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パンツが見えそうだ。 目の前で、自分の鞄の上に座ってしゃべっている女子高生のスカートの中身が、今にも覗けてしまう状況にあるのを気にしながら、高宮律子は弁当を食べていた。 それをおかずに食べているわけではない。 興味もないし、別段そんなものは見たくもない。 ただ、目の前の女の子の膝が微妙に開くのが気になって、その度に「あ、見えちゃう」と、そこに視線がいってしまうだけだ。 本人は気にならないのだろうか。 だいたい、あんな短いスカートをはいていたら、階段とか昇っているときに、気が気じゃないだろうに。 駅で見ていると、いや、別にそればっかり見ているわけではないのだが、そこはもうギリギリアウトだろうと、こっちがハラハラするような丈のスカートで、裾を押さえながら駆け上がっていくのがなんとも気になる。 押さえて歩くぐらいなら、安心して階段を昇れるぐらいの丈にしましょうよと言ってあげたい。 まあ大きなお世話だろうが。 自分が学生の頃は、制服のスカートは長かった。 それでも昔よりも随分短くなったとかで、親の代から「最近の娘は小洒落ちゃって」なんて冷たい目で見られたものだ。 その頃は、おばさんには若い子のセンスが分からないんだろうと、こちらも冷たい態度をとったものだが、今自分がそのおばさんのようなセリフを心の中で転がしている。 じゃあ、目の前の子たちがおばさんと呼ばれる時代になったとき、世の女子高生はいったいどんな出で立ちになっているんだろう。 パンツ丸出しか?  或いはワカメちゃんスタイルか。いずれにせよ見たくない。
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