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「御機嫌麗しゅうドライ王女」
「噺は聞き飽きた。兎に角・・・そのティオーネは生かして私に会わせてくれ!」
「何を無茶なことを言う。アイツは王女を誘拐拉致・・・・殺そうとした大罪人。このままでは示しがつかぬ。明後日民衆の前に死刑だ。」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!」
ドライが腰から剣を抜くのを家臣達が椅子から落ちて腰を抜かした。
ドライの玄道に評議委員は焦り困惑した。
「ローゼンフィエルド始まって以来の問題行動だ。王女?身勝手さは赦終い」
「うぜぇーっうて」
舌打ちして出て行くのを誰も止めなかった。
凍え死ぬのを耐えてティオーネを助けたのはドライだった。
翌朝
朝食の時間に目を覚ましたてぉー根は明るく暖かいフッカフッカのベッドの上で眠っていたのだ。隣には下着姿で無防衛のドライだった。ティオーネは起き上がり何度もその巨乳を見て黒コートに着替えて腰には剣を差した。
「師匠。俺を生かしたのはどうして?」
十七年前の荒れた大地に俺は一人墓を掘っていた。人攫いの屍を担ぎ墓穴を掘り俺は自分自身に空いた穴に存在を失っていた。人攫いに売られていたのを切り捨てた人物こそ師匠だ。俺は師匠に今でも心に残る言葉をかけられた。
「良いな。小僧。御前は一人で生きて事は出来やしない。何度生まれ変わっても自分自身その足で立てるように誰かに支えられて歩め。その剣で・・・御前は剣で生きろ。その血に流す覚悟と生と死の輪廻。生きろよ。御前に足りない最も欠けているのは生きる意志の強さだ。俺は御前を鍛える。今日から御前は名をティオーネと名乗れ。ティオーネ。御前は強くなる。俺の目が御前の存在を見いだす。」
そう初めて師匠に言われたのをこの十七年も忘れずに生きてきた。俺だって人間だ。ティオーネが扉の前に立っているとドライが起きた。
「おはよう」
「魘されていたの?」
「あっ・・ああ・・・うん」
憤怒を背負うティオーネは大事に双剣を腰に差して王に謁見を申された。
「オツ様には私も着いていく」
「おおう」
ドライが純白のドレスを着てアーヴァセル王はこの国を代表する治天の君主。ドライの父親。その他ドライの兄と姉と妹が出席していた。母親は病気で急逝。ティオーネは礼をして跪き掌を出した。
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